2011年7月5日火曜日

言語聴覚士のお仕事




  1. 国立障害者リハビリテーションセンター ホームページ: http://www.rehab.go.jp/
  2. 平成23年度 報道発表 吃音(どもり)の発症と聴覚の密接な関連を証明: http://www.rehab.go.jp/hodo/japanese/news_23/news23-01.html
  3. 千葉県野田市の地域の病院【医療法人社団 真療会 野田病院】: http://www.nodahosp.or.jp/
  4. 今日は医療法人社団 真療会 野田病院の「言語聴覚士」の西村くんが言語聴覚士の仕事とは?というタイトルで講演してくれた。彼は僕の大学の同期で、卒研を一緒に乗り越えた戦友でもある。
  5. 彼が言語聴覚士にならなかったら今でも僕はこの仕事を知らなかったと思う。言語聴覚士とは、主に先天性の難聴や事故や病気による失語症、舌癌などの発話障害や吃音などの患者さんのリハビリをヘルプする仕事である。
  6. 理学療法士が「足」、作業療法士が「手」を担当するのに対し、言語聴覚士は「口」を担当すると言われている。西村氏曰く、「しゃべるのと食べるのは表裏一体」。彼が扱うのは、コミュニケーションと摂食嚥下(ものを飲み込む)ということなのだ。
  7. 失語症とは、痴呆などの知能低下に伴わない(二次的でない)もので、ブローカー失語ウェルニッケ失語に大別される。ブローカー野は前頭前野に存在し、運動性言語=発話を司っている。ウェルニッケ野は側頭葉に存在し、感覚性言語=聴きとりを司っている。
  8. ブローカー失語は聴きとり理解はできるが、音声表出が困難な病気。ウェルニッケ失語は音声表出はできるが、聴きとり理解はできないという病気だ。つまり、つじつまの合っていることはしゃべれるのだが、相手の質問に答えることが困難であるらしい。
  9. 西村氏が現在担当している患者さんは「伝導失語」という病気を患っており、ブローカ野とウェルニッケ野を結ぶ神経線維に障害が生じている。このため、自分の意志で話すこともできるし、言っていることも理解できるのだが。「復唱」ができないという。
  10. バイリンガルは吃音になりやすい!?】右利きの人の9割以上は左半球に優位な言語野があると言われている。この「優位半球」が決まる前にバイリンガル教育を受けると吃音(どもり)になり易いという報告がある。
  11. 嚥 (えん)下障害は物を飲み込むことが出来なくなる症状で、通常は食堂に入るはずの食べ物や飲み物が気管に入ってしまうため、誤嚥性肺炎になってしまうリスクを伴う非常に恐ろしい病気である。山城新伍さんもこれでなくなったらしい。老人の死因のほとんどが肺炎であるが、この誤嚥性肺炎が大半だとか。
  12. 嚥下障害は、食べる喜び、生活の質、ひいては生きる歓びや治療への希望などにつながるものであるから、最優先にアプローチすべき問題であるという。患者さんの食事の質(流動食、おかゆ、固形、ネバネバ度合い)は言語聴覚士が判断するらしい。
  13. 言語聴覚士は国家資格であり、今後需要の高まる職業だと僕は思います。まだまだ認知度とお給料は低いがやりがいのある仕事だ!と西村氏も笑顔で言っていました。同期が頑張っている姿を見て誇らしいと思いました。
  14. 余談だけど、TMSが言語障害に対する有効な治療法として注目されているらしい。つまり、頭蓋骨の外から(脳に傷つけることなく)磁場を負荷してやることで、障害部位を治療するのだとか。今僕がやってる研究とも関連性が見いだせて、将来共同研究しようなどと盛り上がったのでした。